バリウム検査という単語からどんなことを連想するだろうか?
40代〜50代くらいのおじさんが「今回の健康診断バリウムあるんだよ〜…」
と低めのテンションで嫌そうに嘆いている現場に過去何度か立ち会ったことがある。
曰く、白く不味い液体を無理やり飲まされ、胃の検査をされる。
曰く、終わったあとは白いう◯ちが出る。
曰く、バリウム検査を受けたあとは無限のゲップが出る。
曰く、バリウム検査のあとに出るゲップは地球温暖化の主な原因になっている。
などなど、バリウム検査については巷で様々な情報が飛び交っている。
かくいう私も「バリウム検査」という単語は知っていたものの、それが、何を目的として・どのようなことを実施するのかというイメージは皆無であった。自分がバリウム検査を受けることなど、まるで一生ないかのように捉えていたのだ。
まるで、サッカー日本代表の柳沢のシュートとゴールマウスのように決して交わることのなかった私とバリウム検査。
それが、今日、初めて交わったのだ。
健康診断で訪れた港区のとあるクリニック。
事前に採っておくべきだった尿を当然のように忘れていた私は、トイレであの白いプラスチック容器を片手に用を足していた。白いプラスチック容器に小水を納め、小型の試験管のような容器に移し替え、手を汚さなかったことに安堵しながら検尿容器を提出した私に看護服を着た妙齢の女性が言った。
「今日、体調大丈夫なら、バリウムやりたいんですけどいいですか?」
疑問形で承諾を求められたのだから、当然私には拒否する権利もあったのだと思う。しかし、聞きしに及ぶバリウム、一体どんなものなのかという好奇心に抗うことができず、あと、たぶん普通にやっといた方がいいんだろうなと思い、私は首を縦に振った。
順調に検査を進めていき、いよいよ人生初のバリウム検査を迎えた。
なんかあの、タイムショックのトルネードスピンみたいな機械のところに立って両側の手すりを持ち、体を固定する。
目の前には、ショットグラスのような容器に入った無色透明の液体(水でした)と、小袋に入った白い粉(発泡剤でした)、そして紙コップになみなみと注がれた白濁した液体(これがバリウム)が用意されている。
緊張した面持ちで検査の開始を待っていると、看護師のおねいさんが悪戯っぽい微笑で私の顔を覗き込みながら訪ねてきた。
「バリウム検査は初めてですか…?」
「はい、…初めてです」と私は答える。
看護師のおねいさんは初めての私に、バリウム検査について手ほどきをしてくれた。
そもそも、バリウム検査は胃の検査であり、胃の検査をするにはバリウム検査と胃カメラの選択肢があるとのこと。(調べてみたら、胃だけじゃなくて、食道と十二指腸も見るみたいです。エグいですね)
バリウム検査とは、正式には、上部消化管造影検査と言い、食道・胃・十二指腸の病変をチェックするための検査です。上部消化管造影検査では、通常のレントゲン写真と異なり、X線を連続して照射しながら行います。バリウムは、X線を透過しないので、バリウムが口から食道、胃、十二指腸へと流れていく様子を動画で見ることができます。
医療法人社団仁恵会 福山検診所のWebサイトより抜粋
まず初めに、小袋に入った白い粉(発泡剤)を喉の奥にサラサラと投入し、ショットグラスのような容器に入った無色透明の液体(水)で流し込みます。これで、胃がパンパンに膨らみ診察しやすくなります。
胃がパンパンに膨らむというのが、どの程度の圧迫感なのか想像がつかなすぎて若干の恐怖を感じたものの、ここまでは特に疑問もなく理解。
そして、発泡剤によって膨れ上がった胃にバリウムの流し込むという寸法。
こんな若干粘度の低い石膏のようなものを自分の体内に流し込んでもいいものなのか、健康への悪影響はないのかなどの不安は一旦気づかないふりをして了承。
そして、検査中は絶対にゲップをしてはならないということ。
「山を登る時、ルートもわからん!頂上がどこにあるかもわからんでは遭難は確実なんじゃ!確実!そう、コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実じゃッ!」
という名言からも、コーラを飲むと100%ゲップが出ることがわかる。発泡剤を飲んだときにゲップが出る確率は当然私には知る由もないのだが、そのゲップを我慢しろだと…?そんなことが人間に可能なのかという疑問が湧いてくるものの、できるかぎり努力する約束をした。
一通り説明を受けて、さあ、バリウム検査の始まりだ。
まずは発泡剤を口の中に放り込む。ほのかにレモンのようなさわやかな酸味が広がり、まったく嫌な感じはしない。そして、すかさず水で粉末を体内に流し込む。例えるなら、あんまり美味しくないCCレモン。
「じゃあ、バリウムも飲んでください。全部飲んじゃって!」
という合図に合わせ、バリウムもぐいっと飲み干す。
めちゃくちゃ不味いものだと思っていたけど、意外とのむヨーグルトみたい。飲むヨーグルトだとしたら不味いんだけど、薬だとしたら不味くない。医療業界、日々不努力してるなあ。と思いながら、バリウムを飲み干す。粘度が高いため、全てを飲み干すのには多少時間がかかる。
その後、立っていた機械が横になったり、逆さ吊りになったり、寝転んだまま2回転したり、そしてさらに回転したり、10度右を向いたり、45度左を向いたりするんだけど、なんかアトラクションみたいで楽しい!
逆さ吊り(?)の状態になったときも両側の手すりを掴んで自力で自分の体重を支えないといけなかったので、「これは、50代・60代のおじさん、落っこちちゃう人もいるのでは??」と思いながらも、体を動く機械に預ける体験はちょっとしたアトラクションのようで愉快だった。
検査が終わったあと
「バリウムをなるべく早く体外に出した方がいいから下剤飲んでね」
と緩下剤を渡され、小さな粒を2つ飲んだ。
「普通の人だったら、6時間後くらいに便意が来るはずだから」と。
下剤を飲んだのが正午くらいだったので「18:00くらいに白いう◯ちが出るんだな」と思い、内心うきうきしていた。
突然少し話は変わりますが、皆さんは採血のときってどうしてますか?
血を抜かれている間、自分の血が体外に出ていくのを見ていると気分が悪くなるし、貧血を起こしそうなので、僕は目の前の看護師さんを凝視することにしています。かなり気が紛れます。
そして、話は戻ります。
バリウム検査後、14時前に便意が。2時間足らずで既に便意が訪れました。急いで個室に駆け込むと水分の多い白い便が排泄されました。
「18時では..?」
私は疑問とともに白い排泄物を水に流した。
P.S. 今日は1日中お腹が張っている感じでした。