突然なんですが、私はたまに「頭がいいですね」と言われます。
本当に私の頭がいいのかどうかは知りませんが、そう言われたときは決まって「勉強しているだけで、頭がいいわけではないのです」と感じます。
しかし、「自分は本当に、深層心理からそう思っているのだろうか?」と考えてみました。もしかしたら、心の奥底では「自分は頭がいい人間だ」と思っている可能性も否めません。
さらに思考を進めてみると「学歴って意味ないよね」とか「社会に出たら学校の勉強は役に立たないよね」という言説に対して「本当にそうだろうか?」という疑問を持つに至りました。
この記事は私の思考の過程のごく個人的なメモ書きです。しかしながら、自分のキャリアや、学校の勉強の意義などに何らかの疑問を持っている人にとって、一つの意見として参考になればいいなと思う気持ちもあります。
お時間があれば、ぜひお付き合いください。
【忙しい方のための3行まとめ】
- 学歴は重要ではいが、セルフイメージの形成にプラスに働いているかも
- 学歴は重要ではないが、セルフイメージは非常に重要
- 学歴がない人は独自のストーリーを持つことで、よいセルフイメージを形成できる
まずは自己紹介
なぜ私が度々「頭がいいですね」と言われるのかを説明するためには、簡単に自己紹介しておく必要がありそうなので、以下に記載します。
経歴
筑波大学 卒業
筑波大学は、4年制の国立大学です。たくさん勉強をした人が集まります。たくさん勉強しないと入れない大学を卒業していることに対して「頭がいい」と思う人はいます。
コロラド大学に交換留学(1年)
1年間コロラド大学ボールダー校で経済学を学びました。コロラド大学は世界トップレベルの大学ではありませんが、アメリカの大学に留学していたという事実に対して「頭がいい」と思う人はいます。
1社目が大手企業(約3年)
初めて入社した会社は国内の有名企業でした。決して高年収ではありませんでしたが、大手企業の正社員であることに対して「頭がいい」と思う人はいます。
ベンチャー企業で新規事業立ち上げ(約3年)
その後、IT系のベンチャー企業に入社し新規事業の立ち上げを担当しマーケティング責任者に就任。タイミング的にそうなっただけなんですが、新規事業を立ち上げたという事実に対して「頭がいい」と思う人はいます。
今やっていること
今の仕事で使用している知識は以下のような感じです。
- マーケティング戦略/戦術策定
- ウェブサイトの設計・デザイン
- ウェブサイトのフロント実装
- LPやフォームの改善
- 広告運用
- Ebookなどのコンテンツ作成
- ウェビナーの企画・資料作成・登壇
- SEOメディアの運営
もちろん、すべてにおいてプロフェッショナルレベルというわけではありませんが、自分のことながら、かなり広範な知識を扱っていると感じています。
広範な知識を有しているということに対して「頭がいい」と思う人はいます。
私は頭がいいのでしょうか?
上記の内容を見てくださった方、特に興味深くも面白くもない文章にお目通しいただき、ありがとうございました。
私の経歴がわかったところで、ちょっと考えてみてほしいのですが、私は「頭がいい」のでしょうか??(もちろん日本トップレベルのエリートと比較したら、実績も経歴も全然大したことないことは明らかですが)
私の見解は下記のとおり。
自分は「頭がいい人間」というわけではなく、その時その時で必要だと思う勉強をしてきただけ。
でも同時に「ちょっと待てよ」とも思うわけです。
表層的な意識(顕在意識)では上記のように考えているものの、深層心理(潜在意識)では「自分は頭がいい人間だ」と思っているかもしれません。その可能性は大いにあります。
顕在意識とは、自分が自分の意識のうち、自分で認識できている部分です。逆に潜在意識は自分では認識できていない部分のこと。
私達の日々の行動や思考のうち、90%〜97%が潜在意識によるものと考えられています。この潜在意識のおかげで、道のどちら側を歩くか、靴をどっちから履くかなどを考える必要はありませんし、歩くときに「今右足を出したから、次は左足だな」などと考えずに歩くことができます。
朝起きて会社に行くときも「次は右に曲がって…」とか「この駅で〇〇線に乗り換えて…」みたいに思考することなく、ほぼ全自動で家を出たら会社に到着するのも潜在意識の為せる業です。
で、この潜在意識で認識している「自分はこんな人間である」という自分像を「セルフイメージ」と言います。セルフイメージは顕在的に認知できないものです。
我々人間は、潜在的に「自分はこういう人間である」と思っている通りの人間になります。セルフイメージをポジティブな方向に改善していければこれほど楽なことはないのですが、それが非常に難しい。だから人は悩んだりくよくよしたりしながら試行錯誤して生きていくんですね。
「自分は頭がいい」というセルフイメージの効用
私は自分のことを「頭のいい人間だ」と潜在意識レベルで認識している可能性を感じたときに、ある可能性に思い至りました。
自分の中では下図のようなポジティブループが形成されているために、恐れずに新しいことに挑戦することができるのではないか?
- 「自分は頭がいい」というセルフイメージ
- 「学んだことが身に付く」という確信
- 新しい知識を学ぶことが楽しい
- 知識がある分野が増える
- 知識が増えることで「自分は頭がいい」というセルフイメージが強化される
上記のようなサイクルが自分の中に形成されているために「新しい知識を学び、新しい挑戦をする」ということを当たり前にできているような感じがしてきました。
過去のどこかの時点で、「自分は頭がいい」というセルフイメージが形成されたのだとすれば、それは確実に学生時代です。
そういった観点から言えば、学校の勉強をしたことや、難関と言われる大学に入学したことは意味があったと言えそうです。
学校の勉強や学歴に意味はない?
社会に出たら学歴なんか関係ないというのは、本当にその通りだと思います。大手企業だと、未だに学閥みたいなものはあるみたいですが、ベンチャーだとまったく関係ありません。自分で事業を起こすとかだったら本当に関係ありませんね。
では、私が大学に行った意味はないのでしょうか?前述したとおり、セルフイメージの形成という観点から、「必ずしも必要ではないが意味はあった」と思っています。
あともう一つ、学歴が人生に与える効用を感じています。それは他人から「頭がいい」と思われることです。
「頭がいい」と思われると何がいいのか?
周囲から「あの人は頭がいい」と思われると何がいいのでしょうか?
「実力に伴わない高評価を受けたらしんどいだけだろう」と思う方もいるかもしれません。でも、私が感じていることは全く異なります。
周囲から「頭がいい」と思われることはメリットはあれど、デメリットを感じたことはありません。
メリットを感じるのは以下の2点
- 「自分は頭がいい」というセルフイメージが強化される
- ハロー効果によって勝手に評価されやすくなる
自分のセルフイメージが強化される
「頭がいい」と周囲から思われると、当然「頭がいい人」として扱われます。
潜在意識は、「何度も見たもの」「何度も聞いたこと」「何度も思ったこと」によって強化されます。
例えば、全く同じ遺伝子を持った子供が2人いたとします。
一方は「君は天才だ。努力すれば何でもできる!」といつも言われて育ち、もう一方は「お前は本当に馬鹿だ。何をやってもダメだ!」といつも言われて育った場合、その人格形成や辿る人生は全く異なるものになりそうですよね。
何が言いたいかというと、周囲から「頭がいい人」という扱いを受けると「自分は頭がいい」というセルフイメージが強化され、頭がいい人が取りそうな行動が増えるということです。
例えば、読書量が増えたり、専門的なスキルの習得・強化に時間を費やしたり、テレビや漫画を見なくなったりします。
それによって、実際に「頭がいい人」になっていくわけです。
ハロー効果によって勝手に評価される
イケメンの就活生とブサメンの就活生がいるとします。2人がまったく同程度の人柄やスキルを持っている場合、内定率はどうなるでしょうか?
もちろん、イケメンの方がはるかにたくさんの内定をもらうであろうことは想像に難くありませんよね。
「結局見た目が大事なんでしょ?」と思う人も大いはずです。
しかし面白いのは、採用担当者は彼がイケメンだから採用したなんて微塵も思っていないことです。
ある対象を評価するとき、その一部の特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう効果のことを「ハロー効果」と言います。上記の例では容姿が整っているという優れた特徴に引きずられて、イケメン君のスキルや人柄も高く評価しているのです。
当然、「高学歴である」ということでもハロー効果は働きます。ベンチャー企業で新規事業を担当したとき、私は事業開発なんかやったことなかったですし、何の実績もありませんでした。
そんな私が事業の立ち上げを担う立場になっていったのはなぜなのか考えました。私はてっきり、誰よりもがんばって働いたからだとこころのどこかで思っていましたが、もしかしたらそれだけではないかもしれません。
「高学歴である」という特徴によって、「経験が浅い」という本来ネガティブな特性を、ハロー効果が働いて「伸びしろがある」と捉えられた可能性も0ではないかもしれません。
もちろん、学歴が高いのに、まったく何の成果も実績もあげられなかったら「あいつ勉強はできるのに…」という評価を食らってしまうとは思います。しかし、一度成果を上げたら「君は優秀だと思っていたよ」という評価を受けます。
一度優秀だと思われればしめたものです。
多少の失敗をしたとしても「あいつが失敗するなら仕方ない」となるわけです。さらには、大きい仕事や裁量が回ってくる可能性も高くなりますからね。働くのが楽しくなるはずです。
仕事の成果は実力によるものか?
ちょっと話は逸れるのですが、ハロー効果を利用するのはずるいでしょうか?人によっては「実力で評価されていないんだからインチキだ!」と思うかもしれません。
では、「実力で評価される」とはどういうことでしょうか??
人は実力と運を区別できない
仕事で著しい成果をあげている方もそうでない方も、以下の点について少し考えてみてください。
現状の仕事におけるあなたの成果は、あなたの実力によるものでしょうか?
いかがでしょうか??
「俺は会社の利益を〇〇%改善したマーケターだ。この成果は俺の実力によるものだ!」と思う人もいるでしょうし、「いやいや、今の成果があるのは優秀な部下やタイミングのおかげだよ。」と思う方もいるでしょう。
逆に「自分がいまいちパッとしないのは上司に恵まれなかったからだ。」と思う人もいるかもしれません。
実は、成功した場合・うまくいっている場合は、その結果は自分の実力によるものだと感じ、失敗した場合・うまくいってない場合は周囲に問題があると考える心理的な傾向が人間にはあるということが複数の研究で明らかになっています。
つまり、実力などというものは正しく評価できない可能性が非常に高いということです。
成功を左右する最大の要因は運
また、イタリアのカターニア大学によって行われたコンピューターシミュレーションによる研究では、「人生の成功に最も影響を与えるのは運である」という結論が出ています。
参考:Talent vs Luck: the role of randomness in success and failure
そう、実は仕事の成果と実力はそれほど関係ないのです。
成功するために必要なこと
仕事の成否に運が最も関係するのであれば、成功するか否かは以下のようになります。
チャレンジ回数 × 成功確率(運)
運はコントロールできないので諦めましょう。コントロールできるのはチャレンジ回数です。ではチャレンジ回数は何で決まるかというと「行動量」と「チャンスを与えられる回数」です。
行動量は自分の日々の心がけ次第ですが、周囲からの評価が高い人にしかチャンスは与えてもらえません。
つまり、成功するためには、行動量を増やすことと周囲からの評価を高める努力が必要なのです。
学歴がない人はどうすればいい?
ここまでの主張をまとめて、学歴は強力なハロー効果とポジティブなセルフイメージをもたらしてくれるという点で有用であると結論づけたいと思います。
そういった意味で言えば、学歴は仕事の成果と比較すると運に左右される要素が圧倒的に少ないですし、容姿のように先天的な要因ではなく、努力だけでどうにかできる余地が大きいです。
(もちろん、家庭の経済状況と学歴は相関関係にはありますが、努力次第でどうにかできる余地も大いにあります)
そういった意味で言えば、高い学歴を獲得することは、青少年に対して最も公平に開かれている機会と言えるかもしれません。
そういった背景から「中高生時代の勉強はちゃんとやっておいた方がいいかな」と個人的には感じるわけです。
では、誇れるような学歴がない人は「自分は馬鹿だから…」とセルフイメージを下げて、現状に甘んじることを強いられないといけないのでしょうか?
答えはもちろん「No」です。大事なのは、「高学歴か否か」ではなく「どんなセルフイメージを持っているか」ですから。
なので、学歴がない人はセルフイメージが書き換わるようなストーリ―を持てばいいと思います。例えばこんな感じ。
学生時代はまったく勉強せず遊び回っていた。学業もスキルも身につかず、麻雀ばかり上達する日々。
その結果、就職活動は惨敗。行きたい企業には入れず、好きでもない仕事を嫌々こなす日々。
ある時海外で成功した日本人の記事が目に留まり「こんな自分でも変われるかもしれない!」と、諦めていた英語学習を開始。
残業続きの時期も、遊びに誘われても、睡眠時間を削って、自分の未来を信じて机にかじりついた。
父が病に倒れたときは「もう諦めようかな」とも考えたけど、療養中の父に「後悔のないように生きなさい」と言われ学習を継続。
3年間の勉強の末、TOEIC900点を達成し、憧れの外資系企業に転職。
今はニューヨークで働いていて、ブロンド美女のガールフレンドと楽しく暮らしている。
ストーリーのゴールデンパターンとして有名なのが指輪物語や千と千尋の神隠しのような「行って帰る」パターン。以下テンプレです。
<ストーリーテンプレ>
①平凡な日常
②変化のきっかけ
③ピンチと成長
④新しい日常
このストーリーづくりって、私のようにそこそこ裕福で、それなりにうまくいっている人生を歩んでいる場合、あんまりインパクトがないんですよね。
「ずっとそこそこそれなりにうまくいってます」みたいなストーリーよりも、どん底から成功するストーリーの方が面白いですから。
なので、今「人生があんまりおもしろくないなぁ」と思っている人はチャンスです。人は平凡な日常が変化していくストーリーを好みます。ぜひ、自分だけのストーリーを描いて、人生を楽しんでください。
要点まとめ
- 学歴はセルフイメージと錯覚資産の形成には役立つ
- セルフイメージが重要
- 成功は実力ではなく運=行動量を増やすことが重要
- 学歴がなければストーリーを描く
いろいろつっこみどころもあったとは思いますが、今回はこんな感じで失礼します。
さよなら、さよなら、…さよなら。